まずは手本を見せてとティーノに言われ、アーシェリアスは皿にパンケーキを一枚置くと、最初に栗を混ぜた餡子を少しはみ出る様に乗せた。

その上にソフトクリームを円を描くように巻きながら絞り出し、最後にてっぺんで角を作る。

エヴァンが「上手いもんだな」と褒めるのが聞こえ、アーシェリアスははにかむと、ソフトクリームのてっぺんから黒蜜をたっぷりとたらし、サクランボとミントを添えてソフトクリームに寄りかかるようにもう一枚、パンケーキを乗せた。


「はい、”ひんやりソフトの厚焼きパンケーキ”の完成です!」


アーシェリアスが命名すると、ノアが「食べたーい!」と拍手する。

ウルバーノとティーノも同じように完成させ、数名の従業員を集めるといよいよ皆で試食タイムとなった。


「いただきます!」


皆の声が重なり、それぞれ餡子やソフトクリームを不思議そうに観察しながらスプーンやフォークを刺す。

そして、口に含んだ数秒後。


「んんんっ! 美味しいわ!」


歓喜の第一声は女将からだった。