破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします


「アイザック様とはぐれてしまった俺は必死に探し、マンゴーレディのおかげでようやく見つけることができたのだ」

「私ですか?」


洞窟の一角、辺りに魔物もいないスペースを見つけた一行は食事の準備に取り掛かる。
アーシェリアスはシートを敷きながらエヴァンに首を傾げた。


「そう。君が厩舎で友人らしき者と会話しているのを偶然耳にした。そこでザックという名が君の口から出たので、もしやと」


ザックという愛称は、アーサー王子も呼んでる。

故にエヴァンは、まさかと思いながらもアーシェリアスの後を追ったのだと話した。


「アーシェ、ランチボックス出していい?」

「ええ、ありがとう」


ノアがバスケットから大きなお弁当箱を取り出してシートの上に置く。

アーシェリアスは木製の食器を皆に配っていると、エヴァンが「マンゴーはあるか?」と訊ねた。


「すみません、マンゴーはないです」

「残念だ。では、次はマンゴーありで頼む」


願い出たエヴァンの言葉に、ザックが目を細める。


「おい待て。次ってなんだ。お前まさか」

「お供しますよ! 次ははぐれたりしません。ご安心を」


得意げに胸をプレートアーマーの上から叩くエヴァン。