破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

端の方でサイクロプスが倒れていることを覗けば実に和やかな雰囲気の中、アーシェリアスが目的を思い出す。


「って、私のキノコ! さっきの戦闘で潰れてたりしてない!?」


焦るアーシェリアスが辺りを確認すると、キノコのある場所でシーゾーが短い手を振ってここにあるよとアピールした。


「モーフー!」

「無事! 良かった!」


倒木に重なり合うようにして生えている白いキノコ。

近づくと松茸のような香りがするそれをアーシェリアスが観察していると、背後からエヴァンが覗き込んだ。


「おお、これはトリノタケか」

「なんですかそれ」

「ハーピーが好んで食すというキノコだ。人が食べるとしびれるらしいぞ」


エヴァンの説明にアーシェリアスたちは「えっ」と揃って驚愕の声を上げる。

そしてザックが「なるほど」と続けた。


「ハーピーにしたら特別に美味いキノコというわけか」

「うっそ。それで幻扱い? ごめんアーシェ、ボクがもっとちゃんと話を聞いておくべきだった……」


ノアが謝罪すると、アーシェリアスが項垂れていた頭を上げる。


「ううん、私も確認しなかったし、ノアちゃんのせいじゃないよ」


力なく笑って「またハズレかぁ」と言いながら立つと、アーシェリアスはみんなを振り返った。


「気が抜けたらお腹空いてきちゃった。お弁当食べようか!」


美味しいものを食べて心も体も回復しようと持ち掛けると、ザックとノアは賛成する。