破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

ノアは正気を疑うかのように眉を顰めた。


「どうして!? アーシェは怖くないの?」

「それは怖いよ。痛いのも苦しいのも嫌だわ。でも、今さっきだってザックは一緒に戦ってくれた。私の目的に付き合ってくれて、仲間だと言ってくれてる。仲間なら助け合うのは当然だし、危機だって一緒に乗り越えるものでしょう?」


グッと握りこぶしを作ってアピールするアーシェリアス。

実は、前世で少年誌にハマっていた時期があり、様々な体験を通して育む友情、築く絆、共に重ねる努力、成長といった物語に少し憧れていた。


「じゃあ、ボクの為にも乗り越えてくれるの?」


ノアが気弱な声で口にする。

ノアには今までそんなことをしてくれる友人はいなかった。

共に乗り越えてくれるのは家族だけ。

友を心から信頼するという感覚がわからず試すように訊ねるノアに、アーシェリアスは即座に頷いた。


「もちろん。ノアちゃんも仲間なんだから」


当然でしょうと微笑むアーシェリアスに、ノアの目頭が熱くなる。

ありがとうと言いたいのに、一言でも声を発したら泣いてしまいそうで頼りない笑みを返すことしかできない。