「ありがとうございます。あなたはザックの知り合いだったんですね」
頭を下げてから驚きましたと口にしたアーシェリアスに、騎士は誇らしげに鼻で笑った。
「俺はアイザック様の護衛だ。知り合いなんて軽い関係ではない」
「エヴァン! 余計なことは言うな」
「余計なことではありません! これは俺にとって名誉あることです!」
「そうじゃない。俺の話だ。あと声がでかい。それと、宿場町からずっとつけてたのはお前だな」
「やはり気付かれてましたか。俺もまだまだですね」
何やらわけありな様子のザックに、アーシェリアスとノアは顔を見合わせる。
エヴァンと呼ばれた騎士はザックをアイザック様と呼んでいる。
そして、護衛だと語った。
ファーレンの騎士が護衛につくということは、かなり爵位の高い貴族の息子である可能性が濃厚だ……と、そこまで考えてザックが父を説得した時のことを思い出す。
(あの時、もしかしたらザックが身分を明かしたんじゃ……)
しかし、身分を明かしたとしてアルバートとの婚約も難無く解消できるような地位の家系なんて早々ない。
(王子様でもあれば可能だろうけど)
その考えに至った時、まさかと自嘲気味な笑みを浮かべた。
アイザックという名で王子であれば、思い当たる人物がいるからだ。



