破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

名は少し違ったが、確かにザックを見て言ったのをアーシェリアスもノアもしっかりと見聞きした。

しかし知り合いなのかと訊ねる暇などないのは承知している。

そして、もうひとつの名を呼ばれたザックも、心中で舌打ちしながらも今は成すべきことをと走り、岩に駆け上って跳躍するとそのままの勢いで膝をつき四つん這いになったサイクロプスの心臓を背中から貫いた。

数秒、制止したサイクロプスはそのままドゥッと地面に倒れ動かなくなる。

アーシェリアスがそろりそろりと近づくと、ザックはサイクロプスの背から剣を抜いた。


「安心しろ。もう動かない」


剣を通して鼓動が消えたのを確認したザックが伝えると、アーシェリアスは疲労困憊といった様子でへなへなとしゃがみ込んだ。


「爆弾投げただけなのに、すっごい疲れた……」


カプロスの時も疲れはしたが、緊張感はサイクロプスの方が何倍も上だった。


「大丈夫か、マンゴーレディ」


手を差し伸べられ、素直に応じるアーシェリアスの後ろで、またしてもノアが「マンゴーレディってなに」とダサいあだ名にドン引きする。