破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします


「ノアちゃん! シーゾーをよろしくね! あと、ハンカチで鼻と口をガードしておいて!」

「鼻と口!? アーシェってば何する気!?」


シーゾーを守るように腕に抱えたノアが急いでポケットからハンカチを取り出した。

アーシェリアスはノアに答えることはできなかったが、ザックへと声を張り上げる。


「ザック! 少し離れて! それと、口元を隠して吸わないように気をつけて!」


何を、とザックは訊ねることはなかった。

アーシェリアスがすでに小袋を取り出しているのが視界に入ったからだ。

自分の役割はアーシェが作ってくれたチャンスを最大限に活用することと心得、腕で口元を覆う。

そうして、小袋がアーシェリアスの手を離れてサイクロプスの頭にぶつかると、黒い粉が散乱した。

その途端、サイクロプスは目を瞑り痛みにもがいたかと思えば、大きく口を開けて……


「ぶええええっぐじょぉぉぉん!!」


大地を揺るがすようなくしゃみをかました。

空気が震える中、アーシェリアスが「スパイス爆弾が決まったわ!」と喜びの声を上げたが、サイクロプスが連発するくしゃみの声量が大きすぎてかき消される。

しかし、ザックもノアもそれがコショウであることは理解していた。