破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします


「あ……ザ、ザック……ちょ、あれ、あれ」


震えながらも指差すアーシェリアスに、ザックが何事かと視線を上げた先にいたのはひとつ目の巨人、サイクロプスだった。

巨人といっても十メートルもあるような巨人ではなく、個体差はあるものの三メートルほどの体長だ。

しかし、人よりは皆大きく、体もがっしりとしている。

力もあり、大きな拳で殴られたものは吹き飛ばされてしまうほどだ。

そんな魔物のぎょろりと動く大きな目が、アーシェリアスとザックの様子を交互に覗き見ている。


「……ノア、あいつの心は読めるか?」


サイクロプスから目を離すことなくノアに尋ねたザック。

その直後、サイクロプスが興奮したように頭を振り始めた。

さながらライブでヘッドバンキングをかます観客の如く。


「あの子、めっちゃ喜んでる」

「何をだ」

「人間を食べれるって」


ノアが答えた次の瞬間、頭を振りすぎて目が回ったのか、バランスを崩したサイクロプスが落ちてきた。

慌てて下がり、サイクロプスとの距離を取る一行。

ザックはすでに剣を鞘から抜いており、立ち上がるサイクロプスの動向を注視する。