シーゾーが生み出す食材や調味料はすべて異国のものらしく、袋に書いてある文字はザックには読めない。

どうやらアーシェリアスには読めるようだが、旅の初めにどこで習ったのかと聞いてもはぐらかされたのを覚えている。


(何かあって隠してるんだろうが……まぁ、それは俺も同じだからな)


アーシェリアスのことをとやかく言う資格はないと自嘲し、食材をテーブルに置いたザックはいよいよ起こしにかかろうとベッド脇に立った。


「アーシェ、朝だぞ」


ザック側からはアーシェリアスは背を向けていて顔は見えない。

身動ぎひとつなく、やっぱりかと心中で溜め息を吐きもう一度「アーシェ、朝だ。起きろ」と声をかけた。

今度は少し頭が動いたが、すぐに反応はなくなる。

これはもう強制的に起こすべきかと、ザックは布団に手をかけて思い切り剥がした。

今の今まで温めてくれていたものがなくなったため、アーシェリアスは茹でたエビのように背中を丸める。