「ふむふむ、なるほど。この世界は我もまだ行ったことないなー。今度見学しに行こう」


楽しげに言うと、神さまはスマホに落としていた視線を上げて、茶色い瞳に莉亜を映した。


「さて、さっそくそなたを新しく生きる世界へ送るよー」

「いきなり!? 主人公ね! 主人公でよろしくね!」


主人公になって、当時大好きだった推しキャラと結ばれるのを目指そうとリクエストする莉亜。


(何度もプレイして選択肢も完璧に覚えてるし、私は必ず幸せになれる!)


元彼に騙され、うっかり死んでしまった今生は来世の幸せを噛みしめる為に必要なステップだったのだと握りこぶしを作る。


「神さま! 主人公よ!」

「はいはーい」


念を押した莉亜に、相変わらずの軽い返事に不安を覚えたけれど、それも一瞬のこと。


「では、そなたの来世に幸あらんことを」


神さまの祝福を受けた莉亜は、眩いばかりの光に包まれて気持ちの良い眠気に瞼を閉じたのだった。