「高坂、今すぐにでも結婚したいと思ってるのか?」
「相手がいませんので、すぐに結婚したいとは思っていません。それに今は、仕事が最優先です」
「俺も同じだ。でもこの見合いを断れば、伯母はまた次から次へと見合いの話を持って来るに決まってる。お前だってきっと、俺と同じ道をたどることになるぞ」
逢坂社長の脅し文句に、体中がゾクッと粟立つ。
伯母は今回だけと言っていたけれど。お節介な愛子さんのことだ、逢坂社長が言うとおりになりそうな予感がする。
「それは困りますね」
「だろ? そこでだ」
握られたままの手が、そこで一度ギュッと握り直される。こっちに来いと言うように、逢坂社長が私の手を軽く引く。それを悟った私はゆっくり立ち上がると、着物を気にしながら逢坂社長へと歩み寄り、彼の隣に腰を下ろした。
「な、なんでしょう?」
「俺は今回の見合いの写真を見てピンとひらめいた。相手が高坂ならお前と共謀して、この見合いはうまくいったと見せかける。そうすれば伯母も今後、新しい見合い話を持ってくることはないだろう。なあどうだ、俺の共犯者にならないか?」


