「社長は今回のお見合いの相手が私だって知ってて、ここに来てますよね?」
気持ちも負けないように、強い視線で彼を見つめ返す。
「高坂は知らなかったのか?」
「……はい。最初から断るつもりでいたので、相手のことは“社長”ということだけしか知りませんでした。申し訳ありません」
正直にそう答えると、頭を下げた。
これじゃあ、会社にいるのと変わらないじゃない……。
そう思って肩を下げると、逢坂社長がまたククッと体を震わせて笑いだした。
どうして今日は、そんなに笑うのか。見た目はいいのに無愛想な、逢坂社長の意外な一面に思わず口を開く。
「社長でも笑うことがあるんですね」
はっ! 私ったら、なんてことを言って……。
慌てて口を手で押さえても、時すでに遅し。逢坂社長にギロッと目を向けられて、小さく肩をすぼめた。


