偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~


 ミスのことを店長だけでなく、真史さんにも話さなくてはいけない。いずれわかることだとしても、眼の前でミスを報告するのは彼の期待を裏切ったようで胸が痛む。

 でも今の私には時間がない。大きく息を吐くと顔を上げ、深々と頭を下げた。

「社長、店長、すみません! 私の確認ミスで、今日使う伊勢どりが納品されていません。模擬営業をどうしたらいいのか……」

 申し訳ない気持ちがこみ上げ、言葉に詰まる。責任者として抜擢されたのに情けないと、唇を噛んだ。

 怒られる──。

 緊張と恐怖から、体は強張り手には汗が滲む。固く目をつぶり、その時を待っていると……。

 私の肩に手が乗せられて、反射的にパッと顔を上げた。

「今はそんな顔をしている場合じゃない。ここから一番近い店舗に、すぐ連絡を入れろ。今日納品の伊勢どりを、半分をこっちに分けてもらえるように手配する」

「でも今からじゃ間に合わない……」

「間に合わないじゃない、何が何でも間に合わせるんだ。つべこべ言ってないで、さっさと行動に移せ!」

「は、はいっ」

 店の電話から掛けると、真史さんに受話器を取られた。え?っと思う間もなく、真史さんは早口で話し始めた。