偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~


 でも仕事とプライベートを一緒にする訳にはいかない。この研修が終われば少し休むことができると、自分の気持ちを誤魔化しつつ今日まで頑張った。

 研修も半ばに差し掛かり、調理だけじゃなく発注入力の仕方や納品チェック、在庫確認などの仕方を教える作業に入っている。ここをミスしたら、営業自体に大きな影響がでてしまう大事なところ。まずは昨日発注し今朝納品された荷物を、仕分けしながら冷蔵庫や冷凍庫に収めていった。

 今日は初めての模擬営業の日。午前十一時には複合施設で働く人たちが客として来店し、本番さながらに注文を取り食事を提供する。身内が来るようなものだけれど、失敗は許されない。あくまでも一般のお客様を迎えているという姿勢で取り組み、一連の流れなどを身をもって体験する大切な日だ。

「そこの箱の中に伊勢どりが入ってるはずだから、確認して冷蔵庫にしまって」

 バイトの男の子に支持を出し、私は野菜の確認を始めた。

「高坂さん、伊勢どりなんてありませんけど」

 そんなはずはない。鶏肉もわからないのかと腰を上げ、男の子のところに向かう。

「何かの下になってない? 全部見たの?」

 あまり小言は言いたくないけれど、こんなことでいちいち呼ばれていては時間がもったいない。