「早くこれ持って、ここから出てってください!」
「お、おいっ、いきなりどうしたんだ!? 自分の会社のどこにいようと、俺の勝手だろう」
「もう、つべこべ言わないでください。いいですか、あなたは社長なんです。社長なら社長らしく、社長室でドンとふんぞり返っていればいいでしょ」
「お前なぁ。ふんぞり返ってって、どういう……っ!」
まだ逢坂社長が喋っているけれど、そんなことかまっていられない。社長の後ろへクルリと回り込み、大きな背中をグッと押す。そのままグイグイ押して押して押して、廊下へ出るドアを開けると、最後の力を振り絞り社長の背中を力いっぱい押し出した。
社長、ごめんなさいっ!!
私の馬鹿力によって廊下でよろける社長に、心の中で詫びて手を合わせる。
私は何も見てない、何も知らない。自分で自分にそう言い聞かせるとドアを締め、内側から鍵をかける。慌ててフロアと通じる、もうひとつのドアの鍵もかけた。
これで、よし。


