「私はもう、必要ありませんよね? だから電話に出ませんでした」
抱かれているのは嫌じゃないが、いつもでもこのままでは、どうにも身が持たない。それにこの場での嘘は真史さんには通じないと、素直な気持ちを伝えた。
「この前のときといい、朱里の言ってることがまるで理解できない。必要ないと、俺がいつそんなことを言った?」
体をくるっと回されて、真史さんと向き合う。真史さんの真剣な眼差しと交わり、惹きつけられるように逸らせなくなってしまう。
「……真史さんには、言われてません」
私の答えに、真史さんが眉を顰める。
「さっぱりわからないな。じゃあ誰が言ったと言うんだ?」
「それは……」
この状況になっても、名前を出すのを躊躇してしまう。言うのは簡単だ、けれどなんとなく告げ口してるみたいでいい気がしない。
真史さん、本当にわからないの? まだ隠し通すつもり? 人の気持ちを弄ぶのは、いい加減にしてよ……。
なんで私だけが、こんな思いをしなくちゃいけないの。真史さんたちのいざこざに、私を巻き込まないで!
怒りの矛先が、真史さんに向く。自分でも気づかないうちに、目には涙が溜まっていた。


