偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~


 自分では普段と同じつもりでいたけれど、どうやら違ったらしい。でもそれを答えられない私は俯くと、真史さんの手が目に入る。掴まれている腕が、ジンジン痛い。

「ホントに何もないのに……」

「そんなことで俺を誤魔化せるとでも思っているのか? 仕事のことか?」

 首を横に振る。

「じゃあ、なんだって言うんだよ」

 私の曖昧な態度に、真史さんが苛立ち始めているのがわかる。

 でもそれは、こっちも同じ。何度言っても引き下がらない真史さんに、イライラが募る。喉元まで来ている言ってはいけない言葉が、今にも出てしまいそうだ。

「そ、そんなの……」

 必死に堪えるが、それももう限界。

「自分の胸に手を当てて、聞いてみればいいじゃないですか」

 そう呟いた声は、自分でも初めて聞くような低く重たい声。

「はあ!? どういう意味だ?」

 わけがわからないと言うように、怒ったような顔をした真史さんが私の腕を引き、体がグッと近づく。顔を覗き込まれると、どこからか『今後一切、近づかないで』と三浦さんの声が聞こえた──ような気がして、慌てて体を離した。