偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~


 スッキリしたなんて精一杯の強がり。そうでも思わなきゃ、やってられない。

 私は世間一般どこにでもいるような二十六歳の女だ。こんなイジメみたいに三人に寄ってたかっていろいろ言われたら、心がポキっと折れたって仕方ないでしょ。

 とにかく今は、この場所から一刻も早く逃げ去りたい。

「話はそれだけですか? そろそろ、仕事に向かいたいんですけど」

 話が終われば、こんなところに長居は無用。この人達の顔なんて見ていたくない。

「ええ、いいわ。でもこれだけは覚えておいて。私と真史は今、冷戦中というか、お互い頭を冷やしてる最中なの。でも私の気持ちは今も真史にしか向いてないし、きっと彼も同じ気持ちだと思うのよね。今でも私と真史は愛し合っている。だから真史には、今後一切近づかないで。いいわね?」

 最後の言葉は、魔の女から私への警告。彼女の瞋恚の目が、それを如実に語っている。

「失礼します」

 三浦さんの問には答えず頭を下げると、スタッフルームのドアを開けエレベーターホールへと向かう。

 本社ビルと研究棟を結ぶ連絡通路があるのは三階。こんなときに限ってエレベーターは止まっておらず、カチカチと何度も下へ行くボタンを押し続けた。

 こんなことしたって、エレベーターが早く来るわけないじゃない──。

 頭ではわかっているのに、ボタンを押す手は止まらない。