偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~


「なんだよ、その『げっ』は? 俺がここにいるのが、そんなに迷惑なのか?」

 綺麗な漆黒の瞳が、私をじろりと睨んでいる。

 こ、怖い……。

 そんでもって、むちゃくちゃ迷惑なんですけどっ!

 と、喉元まで出そうになった言葉を、慌ててゴクリと飲み込んだ。

「そんな、滅相もございません。そんなことより。はい社長、クッキーどうぞ」

 いくら綺麗な瞳だからといって、いつもでも睨まれるのはごめんだ。

 エプロンの前ポッケから袋に入ったクッキーを出すと、逢坂社長の前に差し出す。

「なんだ、賄賂か?」

 わ、賄賂!? まさか、今日の試食会のことを言っているとか? そうだとしたら、バカにするにも程があるというものだ。

「じゃあ食べなくていいです」

 せっかく持ってきてあげたのに……。

 クッキーを持っていた手をさっと引っ込めようとしたが、その腕をパシッと掴まれる。その瞬間、ドキリと心臓が大きく跳ねた。