冗談なのか本気なのか。大袈裟な言い方だけど、悪い気はしない。それどころか運命で出会ったのなら、私と真史さんのこの先の運命も……なんて勝手な妄想をしてドキドキしてしまうから困惑してしまう。
何考えてるんだろう、私──。
「運命……なんて、あるんですかね?」
「朱里は感じたことないのか、運命」
テーブルの向こうから伸びてきた手が、くしゃくしゃっと私の頭を撫でる。
今日何度目かのスキンシップだが、彼氏って皆こんなことをするの? だとしたら、これはこれで悪くない。顔がニヤけそうになってしまう。
どうしよう。偽りの恋人なのに、彼女というポジションが気持ちよくなってきた。
でも思い上がっちゃダメ。運命があったとしても、今回は信じるだけ無駄。これはあくまでも、偽装恋愛なんだから……。
心の中でそう自分に言い聞かせていると、頼んだ料理が運ばれてきて、この話は終わりを告げた。


