毎日が全力疾走だ。



後ろを振り向く余裕はない。



草原、荒野に砂漠に洞窟。



立ち止まることなく走り続ける。



どこまでも続く青空の先には、



友達に囲まれ、恋人と愛し合える



美しい楽園があるという。



時々憧れはするが、



行き方がよく分からないので、



とりあえず私は走り続ける。



生きる意味?考えちゃおしまいだ。



考えれば考えるほど、



全てが虚しく感じてしまう。



だから、目を向けないに



越したことはない。



え?…………後悔?



大丈夫だ。まだしてない。



今のところは問題ない。



あの時の選択も、言葉も、行動も、



当時はそれが一番ベストだと



考えて選んだもの。



あの後どんな結果が



待ち受けていたかなんて



誰も分かりゃしない。



まあ、この先もっと



いろんなことはあるだろけど……………。








とにかく、毎日が全力疾走だ。



先のことを考える余裕はない。



森の中、雪原、山奥。



どこまでだって走って見せる。



しかし、全力が過ぎて



息が上がってしまう時もある。



汗だくで、泥まみれで、ふらふら歩き、



ふと見上げた空。



ずっと、前ばかり見ていると、



空を見上げるのを忘れてしまう。



ああ、空って、



こんなに青かったんだっけ。



すっかり忘れていた。



それに、よく見たら



全身擦り傷、切り傷だらけだ。



ひたすらに転んで、



川に流され、木の枝に引っ掛かれ、



山から転げ落ち、洞窟で迷い、



吹雪に凍り付きそうにだってなった。



だが、それでも私はここまで



なんとか走って来た。



今は、少し歩いていこう。



疲れてしまったから。



もう十分だ。









次はどんなところに



たどり着くのだろう。



花畑?湖?それとも海?



…………そうさ。



地図なんてどこにもない。



道標は自分の心の中にしかない。



背中に翼はないから、



空の向こうの楽園には行けない。



しかし、私には足がある。



この広い大地を駆ける足がある。



あなたが優雅に



綺麗な翼を羽ばたかせ、



あの空を飛んでいくというなら、



私は泥まみれで汚くなりながらも、



全力であの地平線の向こうへ



駆け抜けて見せる。



前に進めるなら関係ない。



バカにされたって関係ない。





毎日が全力疾走だ。



さあ、出発の時はきた。



目指すはまだ見ぬあの地。



雨の日も晴れの日も曇りの日も、



例え、一人で心細くても、



道に迷ってしまったとしても、






私は前に進み続ける。






どこまでも走り続ける。





そう、走り続けるだけだ。








毎日が全力疾走なのだから。