気づけば、私の葬式の日が訪れた。

家族、友達…みんな来てくれたんだ。

わざわざ、忙しいのに最後に来てくれてみんなに会えて悲しいけど嬉しい。

一緒に笑いあった日々楽しかったな。きっと、みんなの中にいる私の記憶は少しずつ薄れていって、いつしか、私の存在も…

死んでおきながら、覚えていて欲しいだなんて、わがままなのだろう。

忘れて欲しくないのは、自分が生きていたことに、少しでも意味があると思いたかったからなのかもしれない。

一人一人にお別れの挨拶をした。

その中に、顔に全く見覚えのない男の子がいた。

はじめましてかな?誰かの弟とか?

持ち物に、悟と書いてあった。

見ず知らずの私の死に涙を流してくれるなんて…きっと、悟くんは心優しい人なんだね。

「ありがとう。」

何故かわからないけど、目が離せなかった。私も、涙が溢れるのをこらえることが出来なかった。