たとえ、届かなくても

「ひとつ教えて欲しい。なんで、こんな決断をしたんだ?」

「生きていくのが辛かった。いつからか、気づけば弱い自分に絶望してたんだ」

「弱くてもいいじゃないか。誰だって弱さを持ってる。弱い自分も受け入れて、生きてるんだよ。無理に強がらなくたっていいじゃん」

「そうだね。でも、最後は全て失ってしまうのになんで、生きていかなきゃいけないのか分からなくなっちゃった」

「それって、大切なものを築き上げてきたものを失うのが怖いってことだろ。たとえ最後に全てを失うとしても、俺は優里のことをずっと忘れない。それに、優里が生きた証がこの世界から消えることなんてないからな。」

「ありがとう」

「俺だって、失うのは怖い。誰だって怖いって思うはずだから、自ら投げ捨てる必要なんてないだろ。自分の限られた時間の中で大切にしたいものを守っていくことが、悔いのない人生に繋がるんじゃないか?」

「うん。私、生きるのも死ぬのも辛かった。どうしようもなかった。けど、大切にしたかった」

「苦しんでるのに、気づいてあげられなくてごめん。もう無理して笑う必要なんてないからな」

「ありがとう。優しいことばかり言うから泣きそうだよ」

「泣きたい時は泣いて、笑いたいときは笑って、そんな風にもっと自由に生きていいんだよ。無理に苦しむ必要なんてどこにもない」