あの、コーヒー大好き人間だった。

「えっ、どういうこと?なんで私が見えるんですか?なんで私のこと知ってるんですか?悟くん?それともドッペルゲンガー?」

訳が分からず、戸惑う。

「一旦落ち着こうか。ちゃんと説明するから。俺も正直驚いてるけどな」

「わかりやすくお願いします」

「俺は今、意識だけを飛ばしてここに来てる。いわゆる幽体離脱みたいな感じかな。なんで、知ってるかって、逆に忘れるかよ。俺は悟だよ。ドッペルゲンガーとは失礼な」

「記憶にないですよ。初対面じゃないんですか?」

「まじか。忘れちゃったのかよ。その言動からすると本当みたいだし」

「ごめんなさい。」

「いや、優里が謝る必要ないよ。きっと事情があるんだろうし。あと、敬語で話されると違和感しかないから、使わなくていいよ」

「うん、わかった。悟くん、ありがとう」

名前を呼ばれたのいつぶりだろう。なんてことないことかもしれないけど、嬉しかった。泣きそう。

「守れなくてごめんな」

「悟くんは何も悪くないですよ。いや、悪くないよ。だって、不運な事故だから、防ぎようなかったし。私こそ、不注意でごめん。聞きたいことがあるんだけど、悟くんって私とどんな関係だったの?」

「付き合ってたんだよ」

「えっ、そうだったの!?そっか、だから、話しててこんなにも安心するのか。なんか落ち着く」

大切な人がいながら、こんな決断をした私、何考えてるの。

「そう思って貰えて嬉しいよ。そうだ、行きたいところがあるんだけど、着いてきて!」

「うん、わかった」

いつまでこの時間が続くかはわからない、少しでも長くこの居心地の良さに浸っていたい。