時計の針を左に回したら。

「あ、やばい」かけるが呟いた。

「ど、どうしたの?」

「教科書忘れた。」  

 かけるはそう言って机を動かすと、私の机にぴったりくっつけた。

「ちょっと教科書見せて。」

え、近いから。無理、無理、むり・・・

 私の内心なんて関係ないみたいにかけるはぐっと顔を近づけてきた。

 結局、音楽の授業なんて全然耳に入ってこなかった。