時計の針を左に回したら。

「かける、かける・・・」

私は授業中もずっとかけるの名前ばかり口の中で唱えてた。

はたから見るとかなりやばめ。

でも他に何も考えられないくらいなんだもん。

「大橋さん、大橋さん、何をぼうっとしてるんです。早く読んでください」

古典の先生が怒った。

「ああ、えっとあの・・・」

「45ページ」

後ろの席のみかっちがそっと教えてくれた。

 休み時間、

「どうしたの?今日なんか変だよ。」

とユッキ。

「ううん、なんでも」

ユッキに相談してもいいけど、もう少しかけるのこと自分で調べてみないと。