偽のモテ期にご注意を


『無意識か・・・』

「もう、起きるんですか?」

「!?」

寝ていると思っていた相手の声が聞こえ、ビクリと体を震わせた。

「起きて・・たんですか」

「圭奈(けいな)が動くから目が覚めました」

「圭奈!?」

いきなりの名前呼びに驚き飛び起きてしまい、慌てて前を隠す。

「まさか、昨日の事覚えてないんですか?」

先ほどの甘い声から一変、驚いた顔をした後、いつもより低く硬い声が聞こえて来た。

「え、えぇ・・覚えてなくて・・ごめんなさい」

申し訳なくなり、小声になるが、表情の消えた置鮎はその綺麗な顔の所為か、怖く感じた。

「何処まで覚えてるんです?」

ゆっくりと起き上がって、自分を見る置鮎の視線に耐えられず、俯いてしまう。