偽のモテ期にご注意を


『なんか・・・デジャブ?』

朝起きると自分の部屋では無かったが、見た事のない景色でもなかった。

驚いている中、背中と腰に暖かさを感じて、更に肌と肌が触れ合っている感覚に血の気が引いていく。

『待って、待って!・・・この状況って・・・まさか』

そろりと顔の向きを変えるが、見えるのは相手の柔らかそうな茶色い髪と、嗅いだ事のある香水の匂いだった。

『ヤバイ、ヤバイ・・どうしよう・・どうなってるの?!』

頭が真っ白になって、考えが纏まらない。

心臓が嫌な音を立てて鳴り出し、冷や汗が出そうになる。

『この状況って、やっちゃったわよね』

とりあえず、ベッドから抜け出そうと体を動かすと、それに反応するように腰に回された腕が締まる。

『!起きてるの?!』

暫く様子を見るが、動かないのでまた少し動くと腕が締まる。