「あ、ちょっと、二又さん汚いですよ」
悪びれもせずお絞りを渡しながら笑う三石をジロリと睨む二又だが、ひょろりとした体格で髪が目の半分を覆っていて、更に眼鏡をかけている所為で迫力は無い。
「お前、水谷さん狙ってたの?!」
草尾が驚き声を上げる。
「いいなぁと思ってるだけだよ。三石どっから仕入れた情報だ?」
「うぅーん。秘密です。情報は武器ですから」
「人の恋路に首を突っ込むくらいだから、さぞや自分は幸せなんだろうな」
「お陰さまで。なので他の人の事がきになっちゃって。」
嫌味を言ったつもりが、逆に惚気られてしまい、呆気にとられる。
「大きなお世話だろ」
「心配してるんですよ。だって、沢城さんも松本さんも浮いた話聞かないし」
「そう言えばそうだな。」
急に話が出た沢城と松本が目を見開きお互いを見る。

