「ごめんなさい。郁哉には悪いけど、凄く嬉しい」
「嬉しい?」
「えぇ。私が始めて郁哉の心を動かせただなんて、天にも昇る気持ちよ」
「いやじゃ・・無いんですか?」
「どうして?。私、自分で言うのもなんだけど、その辺にゴロゴロ居る位の普通の女よ
それが、こんなに・・その、ギリシャの彫刻の様な見た目と、誰もが知ってる有名会社の社長の地位を持ってる、みんなが憧れる貴方の心を動かす事が出来ただなんて、奇跡でしょ」
「それだけです。見た目や地位は有りますが、中身が無いつまらない人間です」
「あら、中身を好きになった私に対する遠まわしな嫌味かしら」
「とんでもない!」
「冗談よ。私が一番好きな所は、一途に思ってくれる所、次に私の事を尊重してくれる所。
言ったわよね?歴代の彼氏が私のワーカーホリックを否定する事。
ワーカーホリックを否定する事は、私そのものを否定されてるのと同じなの。
だから、郁哉みたいに否定しなくて尊重してくれる相手って本当に貴重なのよ
私が、私らしく居られる場所をくれるのが、貴方よ。
だから、貴方が貴方を否定しないで」
抱きしめていた置鮎を腕から離し、顔を見ながらゆっくりと話す。

