偽のモテ期にご注意を


「そうですね。お腹が空きましたね」

自然に湧き出る笑顔でそう答えると、圭奈は少し照れた顔をしてから、スルリとソファを降りた。

「用意してくるわね」

前野とハウスキーパー位しか入った事の無いこの部屋に、圭奈がが居るのが不思議に思える。

あの後、礼をしようと幾度と無く琥珀を尋ねたが、中々会えなかった。

マスターに聞けば、仕事が忙しく、来ない時は一月以上来ない事もざらだと言っていた。

連絡を取るすべも無く、琥珀に来る度に、圭奈を探しては会えない事に落胆する。

そんな日々を一月程過ごした時、やっと圭奈に会うことが出来た。

再開を喜んだのも束の間、会話を楽しむ間も無く寝入ってしまった圭奈を、家に連れて帰った。

腕の中の圭奈は無防備で、大事な宝物を見ているようだった。

のろのろと起きて、下着を付けたら、散らばった服を持って、リビングを後にする。

寝室で、部屋着に着替えてリビングに戻ると、出汁の香りが部屋に広がっていた。