偽のモテ期にご注意を


「使いっ走りって・・」

「あぁ!ちょっと簡単過ぎてお礼にならないですよね。うーん何がいいですか?」

「いえ、熱が出た時色々して頂いたので、こちらがお礼したい位です」

「え・・でもあれって大した事じゃないですよ」

慌てて手を前に出してブンブン振ると、また笑われてしまった。

「お礼をして頂けるのでしたら、お願いしてもいいですか?」

「任せて下さい!」

「でも、急には思いつかないので、連絡先を教えて下さい」

「そう・・ですよね。気付きませんでした」

慌ててスマホを取り出し、連絡先の交換をする。

『何から何までそつが無い気がする』

登録の済んだスマホを眺めながら、自分の余裕の無さに恥ずかしさが込み上げて来た。

「それで、もう、お昼ですし何か食べに行きませんか?」

「え!、イエイエ、これ以上ご迷惑をおかけ出来ませんので、お暇します!」

「休日に一人食事をするのは寂しいもので」

慌てて立ち上がり玄関に向おうとする背に向けて、放たれた言葉に足が止まった。