■ 置鮎 編 ----------------------------
名前を呼ばれて意識が浮上すると目の前に圭奈の心配そうな顔がある。
「?」
『夢だろうか?』
心配ばかりかけているのに、夢でもこんな顔をさせているなんて。
何か言おうとするが、頭が回らなくて、口を開きかけたまま止まってしまった。
「大丈夫?」
そう言いながら圭奈の手が、自分の額に伸びてくるのをぼんやりと見つめた。
『そう言えば前もこんな場面が有ったな』
自分の体調が悪く圭奈が家まで付き添ってくれた時、心配そうに額に手を当てていた事を思い出す。
本当に自分の事を心配してくれているその様子が嬉しくて、つい圭奈の頭に手を伸ばし、自分の方に引き寄せる。
「ちょ・・ダメよ。」
近づきかけたその顔が、驚きに変わり、これ以上近づかないようにソファーに手を付いてつっぱている。
「いやです」
圭奈が離れてしまいそうな不安に、更に腕に力を込める。
「わ・・ぁ・・」
バランスを崩した圭奈を抱きとめると、圭奈の匂いが鼻腔をくすぐる。

