『ここで料理をするの久しぶりね』
初めはコーヒーメーカー以外、炊飯器一つ無かったこの場所に、今は調味料や、食器が増えた。
それらを眺めていると、自分の居場所があるようで嬉しくなる。
『でも、やっぱりそんなに好きになって貰える所が分からないのよね』
自分自身を見てくれる人が居なかったと言っていたが、これから自分と同じように置鮎自身を見てくれる女性が出てくるだろう。
そうなったら自分はどうなるのだろう?捨てられてしまうのだろうか?
そんな不安が頭を過ぎる。
『今だけじゃないのかしら?』
また呼吸が荒くなりかける。
『置鮎がこんな状態になるのは初めてなんですよ』
『冷徹王子とか仮面社長とか言われてるらしいわよ。』
前野の言葉に続いて恵の言葉も蘇ってきた。
『私だけ特別って・・本当かしら?』
自分に自信が無い所為で、疑心暗鬼になってしまう。

