アメニティも使っていいと言われていたが、気が引けて使わなかった。
寝室にあった、自分の鞄からクリームを取り出して使ったので、少しはましだろうと思う事にする。
手早く化粧をして、髪を乾かしてからリビングに向った。
「シャワーありがとうございました。」
着替えも出来て、化粧も軽くでは有るが出来たお陰で、気持ちに余裕が生まれる。
「いえ、気にしないで下さい」
「あの、本当にご迷惑をお掛けしてすみませんでした。
お礼をしたいのですが、何か出来る事が有れば、言って下さい。
掃除とか、洗濯とか、使いっ走りとか」
捲くし立てるように一気にそう言うと、一瞬呆気に取られていた置鮎がクスリと笑った。
「沢城さんって、面白い人だったんですね」
「え?私、面白い事言いました?」
予想外の反応に戸惑ってしまう。

