■ 前野社長秘書の独り言 -----------------
やっと、置鮎にも春が来たか。
置鮎は目の前で、無表情で機械のように仕事をこなす、国内有数のソフトウェア開発の会社の社長だ。
学生の頃からソフトウェアを作っていて、在学中に起業した。
俺と置鮎との出会いは、高校時代に遡る。
全寮制の男子校に入学した俺たちは、その存在が浮いていた。
置鮎はその日本人離れした容姿と、無表情な顔の所為で遠巻きにされているし、俺は体がデカくて目つきが悪く無口だったから、遠巻きにされていた。
同じクラスで浮いていた俺たちは、よく組まされた。
行動を共にする事が多く、それが思いのほか居心地が良くていつの間にか寮でも一緒にいるようになった。
時間が経つにつれ、お互いの家の話しを耳にするようになり、分かったのはあいつの父親が代議士をしていて、兄は生まれた時から後継者として育てられ、母方の祖父のフランス人の血を色濃く受け継いだ、置鮎は両親に疎まれていたらしいと言う事。

