「それで・・長居してしまって申し訳ないので、お暇させて貰おうかと思ったんですが・・その・・服が・・」
「あぁ、服ならクリーニングに出しました」
「?!」
「もうそろそろ、仕上がるでしょうから、シャワーでも浴びてきたらどうです?」
「着替えも無いのに?」
驚いて顔を上げてしまい、置鮎と目が合ってしまう。
『あぁもう、いたたまれない』
「・・・じゃぁコーヒーでも飲みますか?」
目の合った置鮎は何を考えているのか表情からは分からない。
感情を量りかねたまま、キッチンの方に歩いていく置鮎を呆然と眺める。
『どう・・したら? 開き直ってソファーに座る? やっぱりシャワー浴びてから』
逡巡している間に、トレイにコーヒーを乗せて置鮎が戻って来た。
「座って下さい」
「ごめんなさい、やっぱり先にシャワーをお借りします」
目の前のモデルの様な置鮎を前に、化粧の崩れた、ボサボサの自分の居場所を見つけられず、そうお願いすると、快くバスルームへ案内してくれた。

