「あ…」


「バレちゃった」


白い歯を見せてニッコリ笑うと、リョウは頭をかいた。


「綾がずっと元気なさそうだったからさ。内緒でちょっとだけ会うつもりだったんだけどなぁ」


開け放した窓から夜風が入り、リョウの黒い髪をさらさら揺らしていた。


「また会えるよね?」


綾の言葉にリョウは答えなかった。


「俺はいつでも綾の側にいるから」


「待って」