「私なんて…」


綾が言いかけるとリョウは綾の手を取って立ち上がらせた。


「綾、『自分なんて』って言葉は言っちゃダメだよ」


二人は神社の石段に腰をおろす。


「綾には良いとこがいっぱいあるじゃん」


「ないよ…」


「あるよ」


「ない…」


「綾、俺…」


言いかけてリョウは言葉を切った。


「ねえ、練習した?」


急に声を明るくしてリョウが言う。