「なんだこいつ」


横谷が綾を振り払おうとした時、横谷の手が綾のネックレスに引っかかる。



「痛っ!」横谷がふいに叫んで顔を押さえた。


手を離すと掌に血が滲んでいる。


身体を硬直させたままの綾は何が起こったのかわからなかった。


「おまえ血…」


「なんだよこれ」


横谷と座間は不気味そうに顔を見合わせた。


弾け飛んだネックレスのトップが横谷の顔に当たったらしい。


「気持ち悪い」


そう言い捨てて、綾の大学ノートを投げ捨てると走り去っていった。


綾は全身の力が抜けてその場に座り込んだ。


足元には金色のうさぎが落ちていた。


おかしいなと綾は思う。こんな軽くて小さなウサギのネックレスが、血が出るほど傷をつけるなんて思えない。