石段を上がって鳥居をくぐると、うっそうと生い茂る木々が暑さを和らげた。


境内にリョウの姿はない。


綾はため息をついて自動販売機に向かった。財布を取り出すと、百円玉と五十円玉を入れてアイスティーのボタンを押す。


取り出し口から冷えたペットボトルを手に取った時、


「ねえ、それちょうだいよ」


聞いたことのある少年の声がする。