人でごった返す会場を恵子おばさんと歩いていると、コルクボードに展示されたアクセサリーのお店が目に入った。


近づいてみると、白いハンチング帽を被った20代くらいの女性が「いらっしゃいませ」と言った。


「手に取って見てね」


ピアスや指輪に並んで、綾は一つのアクセサリーが目に留まった。


金色のうさぎのネックレス。


ハンチング帽子を被ったウサギが、絵筆を持っていた。


綾がじっと見ていると、店の女性が「可愛いよねそれ」と声をかけた。


「…可愛いです」


「幸運のうさぎ」


値札をみると、手書きの文字で「200円」と書いてあった。


「これ…」


綾が女性にネックレスを差し出すと、「ありがとう。ここでつけてく？」と聞かれた。


頷いて財布を出そうとすると、後ろで見ていた恵子が「いいのよ」と言って女性にお金を支払った。