お店を出ると、綾はいつもの図書館に行くと言った。


恒夫おじさんは「お茶博物館」に行きたそうだったけど、恵子おばさんは「綾ちゃんの時間でしょ」と言ってくれた。


「お夕飯の前に迎えにくるわね」


休日の自習室Eを覗くと、受験生らしい数人が勉強をしているのが見える。


リョウの姿が見えなかったので、綾は図書館併設のカフェに行くことにした。


オレンジジュースをオーダーして文庫本を開く。


今日はここで小説を書こうかな。


そんなことを考えてショルダーバッグから大学ノートを取り出そうとした時。


「こんにちは」


聞いたことのある声に綾は反応した。