駅前にあるラーメン屋は、開店時間と同時に入るとすぐにボックス席に座ることができた。


恒夫おじさんは坦々麺の大盛りをオーダーして、恵子おばさんは「お父さんのを少しもらうだけでいいわ」と言った。


綾は坦々麺と餃子をオーダーする。


店に客が入るたびに何度かこっそり店内を見回したけど、リョウの姿はない。



坦々麺はピリ辛のひき肉や細かく切ったザーサイやネギがたっぷり乗っていて、味噌ベースの辛めのスープがとても美味しい。


綾が夢中で食べていると、恒夫おじさんは嬉しそうに


「うまいか?」


と聞いた。



「美味しいです」


「そうか。もっと高いもん食べさせてあげたかったけど、ここにしてよかったな」



餃子は一皿を恒夫おじさんと恵子おばさんと分けて食べる。



想像してたよりもニンニクの匂いは全然しなくて、これなら餃子対決しても大丈夫かもと綾は思った。