土曜日の朝ごはんの時間、恵子おばさんと恒夫おじさんはあれこれお店の話をしている。


「鰻だろう」


「鰻はお持ち帰りもできるからお家でいいじゃない。最近隣町にイタリアンのお店が出来てね、そこがいいと思うのよ」


昨夜の夕飯の牛肉コロッケをパンに挟んでプレスしたホットサンドを食べながら、綾は二人の会話を聞いていた。


恵子おばさんの朝ごはんは、夕飯のおかずを パンで挟んで焼いたホットサンドと決まっているらしい。


「綾ちゃんは何か食べたいものはある?」


カットしたりんごを綾の前に置いて恵子おばさんが微笑む。


「えっと…」


綾の脳裏にリョウの顔が浮かんだ。


「ラーメン…とか…」


小さな消えそうな声で綾がつぶやく。



初めての綾の主張に恵子と恒夫は顔を見合わせた。