本気で申し訳なさそうな顔をするリョウを見て、綾の表情がほころぶ。


「いいよ。私お昼ご飯いっぱい食べてきたから」


リョウは無邪気な笑顔で笑って、「また食べようよ」と言った。「今度は俺二つ買ってくるよ」とも。


真夏に熱いカップラーメンを食べて、綾の顔に汗が滲む。


「あっちーなー!アイス食べてー」


リョウの声が蝉の鳴き声と混ざって境内の緑に消えていく。


「あーやー」


ベンチに仰け反って空を仰ぐとリョウは楽しそうに目を細めた。


「たのしーなぁ」


黒い前髪が汗で額に張り付いている。


「なんで…」


綾の絞り出す声にリョウが振り返った。


「私なんて…」



なんでリョウが私とここにいるのかわけらないけど、きっと私のクラスにリョウがいたら絶対に人気者だ。


明るくて優しくて…


私なんかとは正反対で…


「どうしたの綾?」


リョウの顔はいつも無邪気で、迷いがない。