「早く家に帰りなさい」


恒夫が一喝するが、二人はひるまず「明日学校きてよ」と綾をからかった。


小説の最初で嫌な奴は2回目はまだ嫌な奴だったかな…


人目を気にしながら、中学の制服ではなく私服の綾はなるべく目立たないように恒夫の陰に隠れようとした。



その日の夕飯は鉄板焼きで、ホットプレートでお肉をたくさん焼いた。


遠慮して野菜やキャベツばかり食べる綾に、恵子と恒夫は焼いたお肉をたくさんお皿にいれてくれた。


「若い子がお肉をたくさん食べてくれると助かるのよ」と恵子おばさん。


「土曜日は外に食事に行こう」と恒夫が言った。


「寿司でも刺身でもうなぎでもなんでもいいぞ。僕たちは子供がいなくてお金の使い道がないからね」


ビールで顔をほんのり赤くして冗談交じりに、でも上機嫌で恒夫が言う。


「考えておいてね」


恵子が優しい微笑みを綾に向けた。