図書館に戻ると、受け付けの前に恒夫が立っていた。


「綾ちゃん、どこを探してもいないから」


「ごめんなさい。お散歩行ってた」


その日の恒夫の笑顔は、昨日よりも嬉しそうだった。


恒夫のシルバーのセダンでスーパーに行くと、入り口にまた横谷がいる。


今日は二人だった。


もう一人の男子は茶色くウェーブのかかった前髪が、目が隠れそうなほど伸びている。



「やっぱいたぜ」


綾を見ると横谷が隣の男子に耳打ちする。


名札には「座間」と書いてあった。


「ね、おまえどこからきたの」


「今日学校来なかったから転校生じゃないよね?」


綾は身体を硬くして目をそらす。


聞こえないフリをしてやり過ごそうとしたが、「なんか言ってよー」と横谷の声が追いかけてくる。