プシュッという炭酸が抜ける音とともにプルトップをあけると、リョウは立ったまま勢いよく炭酸のオレンジジュースを飲んだ。


「うっめー!!!!」


神社の境内に響き渡るんじゃないかというくらいのボリュームで、リョウが叫んだ。


生まれて初めて飲むんじゃないんだから…


綾も立ったままアイスティーのペットボトルに口をつけてみる。


冷たいアイスティーが喉を伝う。


立ったまま飲むなんて普段から「行儀が悪い」と母に怒られてしまうから、少しだけ悪いことをしたみたいで綾はこそばゆい。


「登ってみよう」


ジュースを一気飲みして自動販売機の横のダストボックスに投げ込むと、リョウは境内の裏にある山に続く細い階段を指差した。



蝉の声が間近になる。


細い石段を登ると、階段はだんだんにした土に細い丸太をあてがっただけの山道になる。


綾は白いTシャツのリョウの背中を必死で追いかけた。


リョウの白いTシャツはクリーニングに出したみたいに真っ白でシワがなくて綺麗だった。