神社の石段を上がると大きな鳥居があった。


蝉の鳴き声が一層大きくなる。


神社の裏は山。階段を上がりきると木々に囲まれ日陰になった神社は涼しかった。


「綾、俺喉乾いた」


白いTシャツをパタパタ仰がせてリョウは汗を拭った。


「図書館から麦茶もってくればよかったなー」


「お水買おう」


境内の傍に自動販売機を見つけた綾はショルダーバッグから財布を取り出した。


5百円玉を入れてペットボトルのアイスティーのボタンを押す。


「り…リョウ君は…?」


男子を下の名前で呼ぶだけで綾は緊張してしまう。


「リョウでいいよ」


あっさりいうと、リョウは炭酸のオレンジジュースのボタンを押した。


余計に喉乾きそう…と綾は思ったけど口にしなかった。